1. 個人賠償責任保険とは 「個人賠償責任保険」とは、不注意で他人に怪我をさせてしまったとか、他人の物を壊してしまったといった、他人の損害を賠償しなければいけない場合に備える保険です。2. 損害賠償金が高額となった事例 自転車事故などで他人に怪我をさせてしまい、その損害を賠償しなければいけないという場合、損害賠償金が高額となることがあります。損害賠償金の額が高額で有名な事例(神戸地方裁判所平成25年7月4日判決)は、当時11歳の子供が自転車に乗っていて歩行者(62歳女性)に衝突し、頭蓋骨骨折、硬膜下血腫などの傷害を負わせた結果、その女性が植物状態になってしまったというものです。この事例につき、神戸地方裁判所は、子供の親に対して約9500万円の支払いを命じました。3. 個人賠償責任保険の補償対象 自転車事故の他にも、ショッピング中に高価な商品を落として壊してしまったとか、キャッチボール中に子供が投げたボールが他人の家の窓ガラスを割ってしまったとか、飼い犬が他人を噛んでしまったといったときも、個人賠償責任保険に加入していれば、補償をしてくれます。個々の保険商品によりますが、誤って線路に立ち入ったことなどにより電車等を運行不能にさせた場合に補償をしてくれる個人賠償責任保険もあります。他方、故意に(わざと)このようなことをした場合や、スポーツ中の事故などで法律上の賠償責任を負わない場合、自動車事故の場合などは、個人賠償責任保険の補償対象外です。4. 個人賠償責任保険の加入 自転車利用時に限定した自転車保険は、多くの損害保険会社や共済組合が取り扱っています。これに対し、自転車利用時に限定していない個人賠償責任保険に単独で加入できる保険商品は多くありません。これまでは、火災保険の特約として、個人賠償責任特約を付けるということが多かったのですが、最近では、自動車保険の特約やクレジットカードの付帯保険として、個人賠償責任保険に入ることもできるようです。自転車事故は賠償額が特に高額になることがあるため、自転車利用者が多い東京都は、2020年4月から、条例で、自転車利用者に自転車保険(個人賠償責任保険・特約を含みます。)への加入を義務付けています。沖縄県内で自転車利用者に自転車保険への加入を義務付けている自治体は無いと思いますが、自転車事故は起きやすいですし、既にお話ししたとおり賠償額も高額になりやすいです。自転車に乗るご家族がいらっしゃる方は、自転車保険に入ったり、他の保険に個人賠償責任特約を付けたり、学生や子供向けの総合保険に加入したりすることを検討してみてください。また、認知症を患っていらっしゃる同居親族がいる場合で、電車が走っている地域にお住まいの方は、電車等を運行不能にさせたときにも補償してくれる個人賠償責任保険への加入を検討されても良いと思います。2022年2月23日